腰に走る突然の鋭い痛み!ぎっくり腰とはどんなものなのでしょうか?
ぎっくり腰について25年以上の豊富な施術経験を持つ整体師が分かりやすくお答えします。
ぎっくり腰とは
重い物を持ったときや遠いものを取ろうとした時、スイングなどの捻る動きをしたときなど、「ピキッ」や「グキッ」という衝撃と同時に急に腰が痛くなる症状のことですが、朝起きたときなど何もしていなくても起きることもあります。
医学的には外傷であり、病名は急性腰痛や腰椎捻挫になりますが、ぎっくり腰は病名ではなく俗称のため、他の原因(疲労、ヘルニア、坐骨神経痛、脊柱菅狭窄症など)でも急に腰が痛くなればそれもぎっくり腰ですと言われることもあります。
英語では「acute low back pain」と書きますが、そのあまりの痛みからヨーロッパでは魔女の一撃などとも言われています。
ぎっくり腰の原因
原因の多くは、腰の捻挫や筋疲労によって腰周辺の組織が傷ついたり、炎症が起こることでなりますが、ヘルニア・骨棘・滑り症・椎間関節症・圧迫骨折・化膿・腫瘍などが原因になることもあり、病院でしっかりと検査をしてもらうことが大切です。
ぎっくり腰になりやすい動き
ぎっくり腰になりやすい動きには以下のようなものがあります。ええ?こんなことで?と思うようなものもありますが、本当にぎっくり腰になることがあります。
- 重いものを持ち上げようとしたとき
- 遠くの物を取ろうとして体を無理に伸ばしたとき
- スイングなどの捻る動きをしたとき
- 疲労が溜まっていて、翌朝起きたとき
- ジャンプして着地したとき
- くしゃみをしたとき
- ただ立ち上がろうとしたとき
ぎっくり腰の治療
病院でのぎっくり腰の一般的な治療は以下のようになります。
① 消炎鎮痛内服薬
② 消炎鎮痛外用薬
③ 消炎鎮痛作用の湿布
④ リハビリ
ぎっくり腰になったら 対処法
ぎっくり腰になったらどうしたら良いのでしょうか?大切な対処法3つをご紹介します。
① 安静にする
ぎっくり腰になったら、まずは痛みのない体勢を探し、楽な体勢で体を休ませましょう。
もし痛みのない体勢がない場合は、その中で最も痛みの少ない楽な体勢になります。
また、同じ姿勢でいると痛くなってしまう場合はそのまま我慢せず、他の楽な姿勢になったり、少し動いてから元の位置に戻したりして、同じ場所に負担がかかり続けないようにすると良いです。
楽な体勢になろうとしても自力では体を全く動かせず、そのままの体勢では痛みも激しく、少し動かされるのも痛くて無理な場合、近くの人に救急車を呼んでもらいましょう。
② 冷やす アイシング
一般的にぎっくり腰の初期はアイシングを15分程し、2~3日後に腫れ・炎症・痛みなどが引いてきたら今度は温めると良いとされています。
ただ、私のいた上海の大学病院では、ぎっくり腰でアイシングをするケースはありませんでした。
そのため、アイシングをするかどうかは、ぎっくり腰の原因や担当医の考え方によって変わることがありますので、病院で診断してもらうことが大切です。
③ 少しずつ動く
痛くて動けない状態から痛みが引いてきて徐々に動けるようになってきたら、少しずつ動いてあげると安静にしているだけよりも回復しやすくなります。
上記を参考にして、できるだけ早く病院での診断を受けてくださいね。
ぎっくり腰に良い寝方
ぎっくり腰に良い寝方は、寝てみて痛くない姿勢を探し、痛くない姿勢があったら、その姿勢で寝ることがぎっくり腰に良い寝方になります。これは、ぎっくり腰の原因によって痛い姿勢、痛くない姿勢が違うからになります。
仰向けに寝ると痛い場合
一番多いのがこの仰向けで寝ると痛い場合です。
この場合の楽な寝方の一つ目は横向きになり、痛みが出ない程度に前かがみになって寝る方法です。
その際、脚と脚の間に抱き枕を使うとより腰が楽になります。上の画像のような感じです。やってみて楽になるなら抱き枕を使いましょう。抱き枕がなくても、普通の枕やクッション、お布団を丸めたものでも大丈夫です。
二つ目は仰向けで膝の下にクッションを入れる方法です。仰向けでも膝を立てた状態だと腰が痛くない場合にこの方法が使えます。
ずっと同じ姿勢で寝ていると同じ部位に負担がかかって腰が痛くなることがありますので、上記2つの方法どちらも楽に寝ることができる場合は、横向きと仰向けと交互に楽な姿勢で寝るようにしましょう。
横向きに寝ると痛い場合
仰向けで寝ましょう。ただ、仰向けになるときに腹筋運動をするかのように真っ直ぐ倒れたり、真っ直ぐ起き上がるような動きは、腰をより痛めることがあるため注意が必要です。
そのため、仰向けになるときは、まず先に横向きにベッドに倒れ、そこから仰向けになると良く、起き上がるときも先に横向きになってから起き上がると腰への負担が少なくなります。
一時的に横向きになるだけでも痛くてできない場合は、ご家族に手を貸してもらったり、大変ですが自分の手で支えて一気に仰向けに倒れたり、起き上がるときに大きな負荷がかからないようにしましょう。
ご自宅に介護用の上半身を起こしてくれる可動式ベッドがありましたらそれを使うのも良いです。
仰向けも横向きも痛くてできない場合
重症の場合は体育座りの姿勢以外は痛いという場合もありますが、その場合横になることが出来ませんので、つらいですが体育座りのまま、どこかに寄りかかって休みます。とにかく痛くない姿勢が大事です。
次第に横になれるようになったら横になって寝ます。ここまで重症の場合は消炎鎮痛剤(NSAID)や筋弛緩薬など病院での処置で横になれたりもしますので、整形外科に行くことをおすすめします。
ぎっくり腰に効くツボ
「腎兪(じんゆ)」
腎兪のツボは高さの位置をお伝えするのが難しいのですが、腰のクビレの高さ、もしくは真っすぐ立って手を下に降ろしたときの肘の高さ、または骨盤の一番上から指2本分更に上の高さで、背骨から指幅2本分外側の辺りの押して痛気持ち良い位置が腎兪です。
「委中(いちゅう)」
膝の真後ろの真ん中が委中です。
症状が合えば、上記2つのツボを刺激するだけで曲がった腰が伸びて随分楽になります。
右側左側どちらのツボも刺激して良いです。痛い側の腰のツボの方が軽い刺激でも痛く感じます。
ぎっくり腰に効果的な栄養素と食材
筋疲労や筋損傷が原因で起こるぎっくり腰の場合は、以下のページに効果的な栄養素と食材を詳しく書いてありますのでご覧ください。
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ぎっくり腰の予防法
ぎっくり腰にはもう二度となりたくないですよね。予防というと軽視されがちですが、治療と同じくらい非常に大切です。
以下の予防方法を日常で気をつけると腰痛やぎっくり腰には本当になりにくくなりますし、回復も早くなります。
ぎっくり腰の最中も、ぎっくり腰から回復した後も以下のことを注意してしっかりと予防しましょう。
- 無理な姿勢をしないこと
- 足場の悪い場所は気をつけること
- 過剰な重いものは持たないこと
- しゃがんだりお辞儀の姿勢をするときは、腰ではなく股関節や膝から曲げること
- 睡眠・食事・休息はしっかりと取ること
ぎっくり腰になりにくい体を作る方法
ぎっくり腰が良くなってきたら今度はぎっくり腰になりにくい体を作りましょう。
ぎっくり腰になりにくい体を作るためには、骨盤が水平に保たれていることが重要ですので、以下のような柔軟な筋肉と強い筋肉のある体を作ることが大切です。
ぎっくり腰になりにくい柔軟な筋肉の作り方
以下の3ヶ所をストレッチしましょう。
- 腸腰筋(アキレス腱伸ばしの要領で股関節の前側を伸ばせばOKです)
- 大腿四頭筋(太ももの前)
- ハムストリングス(太ももの後)
ぎっくり腰になりにくい強い筋肉の作り方
上体起こし・腹部引き込み運動、バックブリッジ、プローンブリッジなどの体幹安定化トレーニングを行いましょう。
ぎっくり腰を何度も繰り返す人は、同じような姿勢や動きで負担が溜まってまたぎっくり腰になる方が多いです。柔らかく強いしっかりした腰を作ることでぎっくり腰にならない体を作ることが本当の根本治療となります。
ぎっくり腰のときにお風呂に入って良い?
ぎっくり腰の初期は腰の炎症を冷やすことが基本ですのでシャワーのみにし、腫れ・炎症・痛みなどが引いてくる2~3日後から入浴するようにしましょう。
2~3日後お風呂に浸かったときにまだ腰が痛くなる場合は、お風呂の温度を下げたり、入浴時間を短くしてみてください。それでも痛いときはもう何日かシャワーのみにしましょう。
回復してくるに従ってお風呂に浸かったときに血行促進と浮力等の関係で腰がとても楽になっていくのを感じられると思います。
ぎっくり腰のときにコルセットはつけた方が良い?
キホンはつけた方が楽になり良いです。ただ、原因によってはつけた方が痛くてつらくなる場合もありますので、実際に付けてみて確認する事が大事です。
コルセットもハードタイプ、ソフトタイプ、ソフトタイプにワイヤーが入ったものなど色々あり、ハードタイプはしっかり支えてくれて楽だけど、端の部分が体に当たって痛くなることがあったり、ソフトタイプは痛くないけど支える力が弱いなどそれぞれ長所と短所があります。
よくわからないけど、とりあえず買ってみるなら、経験上コルセットはソフトタイプで幅広のものを使うのがおすすめです。
また、治ってからも念のため怖いからつけ続けているという方は筋力が落ちてきてしまいますので、指導を受けながら少しずつコルセットを外す時間を長くしてご自身の腰を強く鍛えていきましょう。
ぎっくり腰に整体やマッサージは良い?
結論を言うと、実際の整体やマッサージの店舗に問い合わせてみないとわからないです。
これは、以下の理由によるものです。
- ぎっくり腰の原因は種類が多いため、整体やマッサージに合うものと合わないものがあること。
- 整体やマッサージにも多くの種類があり、同じ原因のぎっくり腰でも対応している整体・マッサージの方法と対応していない整体・マッサージの方法があること。
- 同じ種類の整体やマッサージでも、先生の得意分野や力量によって施術可能なぎっくり腰が変わってくること。など。
例えば私がいた上海の大学病院の中国整体科では、通常の筋疲労や捻挫が原因のぎっくり腰は普通に治療を受け持っていましたが、腎臓病や腫瘍が原因のぎっくり腰は腎炎科や腫瘍科と連携したり、骨折の場合は整形外科と連携していたりしました。
そのため、まずは整形外科で診断を受け、ぎっくり腰の原因に合った治療を受けることが大切です。また、整体やマッサージの先生に質問をすれば、どのぎっくり腰に対応しているかを教えてもらえますので、気軽に聞いてみましょう。
まとめ
本記事では、「ぎっくり腰」をテーマに整体師の経験から原因や対処法などを書かせいていただきました。
以下の3点は特に重要ですので、二度とぎっくり腰にならないためにしっかりと覚えておいてくださいね。
- ぎっくり腰は原因が多く、それに合わせた治療が大切(検査を受けましょう)。
- 無理せず安静にし、痛みが落ち着いてきたら少しずつ動いて回復を促進させてあげること。
- 治った後も予防法をしてしっかりとした体を作ること。
本記事をご覧くださり心から感謝いたします。この記事が少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。ありがとうございました。
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